医師になりたい、医師という職業に興味関心はあるけれど、医師は実際にどのような仕事や生活をしているか、なかなかイメージしにくいという方は多いのではないでしょうか。医師の勤務生活が見えてきにくいのは、世の中に対して情報発信をする医師の絶対数が少なすぎるということが大きな一因になっていると考えます。このブログを始めた理由も、一般の方向けに医師として情報提供をしたいと感じたためです。
このページでは、これから医師を目指そうとしている中高生、医学部に入学し勉学中の医学生、医師になりたての研修医・レジデント、その家族に向けて、一般的な勤務医のキャリアについて説明します。
ステップ0|医学部入学から卒業、国家試験まで
はじめに、医師になるまでの流れを簡単に説明しておきましょう。医師になるとは、医師国家試験に合格し厚生労働省・厚生労働大臣から医師免許登録・交付されることを指します。医師国家試験の受験資格として、大学の医学部に入学し過程を修了することが必要です。つまり、大学入学資格を備えた状態で医学部に入学し、その単位を修得し卒業資格を備えた上で医師国家試験に合格する、という流れになります。
ちなみに、この中で最も難しいのは何かと聞かれると、著者は医学部医学科に入学すること、と答えます。もちろん、医学部の勉強やテストも難しいですし、医師国家試験も長時間にわたり大変でしたが、難易度で言えば圧倒的に医学部入学試験(当時のセンター試験を含む)だと思っています。
ステップ1|国家試験合格から臨床研修まで
医師国家試験に合格すると、医籍登録という手続きを経て、医師免許が登録・交付されます。大学卒業後の旅行に行っていて、手続きを忘れてしまわないように注意しましょう。
医師は2年間の臨床研修を行う義務を持っています。医師国家試験よりも前に、あらかじめマッチングシステムで勤務する臨床研修病院を決定しておき、免許を取得すれば晴れてその研修病院での勤務研修が始まります。
この2年間は、一般に初期臨床研修と呼ばれ、内科、救急、麻酔などの必修科目を研修します。各科の上級医に指導を受けながら、症例(疾患)の担当を経験していくのです。臨床研修を修了したことを証明するために、2年間の最後には症例報告書をまとめて臨床研修病院に提出し、臨床研修修了証を発行してもらうまでが初期研修医という時期になります。
この初期研修医の間に、自身の興味や適性を見極め、専門とする科を決めておくことが望ましいです。なぜなら、3年目以降は専門としていく科がある病院で専門研修プログラムに参加する必要があり、初期研修の後半には応募しなければならないからです。3年目以降になってから専門科を改めて決めることもできますが、専門医となるまでの時間がかかってしまう可能性が高くなるので注意が必要です。
ステップ2|専攻医、レジデント(後期研修)
無事に2年間の臨床研修を終えると、3年目からは呼び名が専攻医、レジデント、後期研修医などと変わり専門的な診療を行っていきます(すべて3年目以降の非専門医を指すと考えてもらってよいです)。大きく分け、内科専門医なのか、外科専門医なのか、それ以外の科目なのか(小児科、皮膚科、精神科など)という基本領域を選択している状態になり、それぞれ最低3年間は専門研修プログラムを学びます。症例経験、知識の習得、実技の取得などを行い、それぞれの専門医試験を受け合格すれば、内科専門医または外科専門医の資格を得られます。
筆者が思うに、医師人生の中で最も大変な時期がこの専攻医の時期です。専攻医になると主治医を担当し、診断、治療方針、問題発生時の対応などすべてを主体的に行うことになり、責任が初期研修とは比べ物にならないほど大きくなるためです。さらに、年齢としては30歳手前になり、体力のピークを感じたり、結婚や出産などのライフイベントが重なったりしやすいタイミングであり、医師業務以外にも変化が起こりやすい時期でもあります。
ステップ2.5|大学院生
ここでは、臨床面とは別方向のキャリアについて紹介します。研究面のキャリアです。ここで目指す資格は博士号です。
疾患の原因を追究したい、予後(=今後の寿命)や重症度に関わる因子を同定したい、新規薬物の候補を探してその効果を試してみたい、などの目的をもって研究を行い、それを論文にまとめ、学位論文として審査を受け認められることで、博士号の学位を授与されます。この研究を行うためには、原則として大学院に入学する必要があり、各大学院の入学試験に合格しなければなりません。つまり、学位を取得したいと思えば、臨床業務をこなしながら大学院の情報を収集し、大学院入試を受け合格する、という流れになります。大学院博士課程4年間の単位を修了し、かつ特定の期間内に学位論文を提出し学位審査を受け合格すれば、晴れて博士となります。
筆者が思うに、医師人生の中で2番目に大変な時期がこの大学院生の時期です。早く結果を出さなければ世界の研究者たちに先を越されてしまうというプレッシャーの中、期待していた結果が出なくても粘り強く考察し続け前に進めるか、研究活動を楽しいと思えるか。個人の向き不向きが出やすい部分だと思います。
ちなみに、博士号を取得したからといって、大学や病院からの給与は増加しません。学位論文を執筆できる能力を持っていることの証明になるのみで、研究者としてはようやく第一歩。本当の研究活動はここから(ポスドクと呼ばれる)と言われます。大学に残って研究を続けていくと、その業績によって助教、准教授、教授といった研究面でのキャリアアップにつながっていきます(が、かなりの狭き門です)。こういった方々を、筆者は非常に尊敬します。
ステップ3|医員、スタッフ
医師5年目で内科専門医/外科専門医などの基本領域の専門医を取得した後の医師は、医員またはスタッフというポジションで勤務します。専門医と言っても、例えば内科専門医は広義の専門医であり、さらに細分化した資格(サブスペシャルティ領域)を目指すことになります。内科で言えば、消化器内科、循環器内科、呼吸器内科などがあり、それぞれ専門医資格を取得するという形です。
サブスペシャルティ領域によっては、基本領域の専門医とほぼ同時に取得できるものもあります。サブスペシャルティ領域の専門医(狭義の専門医)を取得した医師をスタッフと呼ぶことが多いです。
ステップ4|医長、科長、部長
専門資格を取得し十分に臨床の経験を積んだ医師は、次のステージに移る機会が訪れます。それまでは自身が診療の中心でしたが、次は管理職となり、後進を育成したり、病院経営に参画したりしていきます。役職としては、医長、科長、部長となるにつれてより重要なポジションとなります。病院によっては医長がなかったり科長がなかったりします。医長になるのが医師免許取得後10年強頃、40歳前が目安になります。部長になるのは、若ければ40歳代、一般的には50歳前後かと思います。
特に部長は、定期的に院長や副院長などの経営幹部会議に召集され、科としての運営目標(病床稼働率、入院患者数、外来患者数、平均入院日数など)を達成するよう働きかけられます。筆者がまだ経験したことのない領域であり、聞いていて非常に大変に感じる、おそらく医師としてさらに大変な時期なのだろうと想像しています。
まとめ
ここまで、医師としてのキャリアについて説明してきました。
これから医師になろうとしている人たちの指標にしていただければ幸いです。

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